ロック名盤:聴かずに死ねるか!
 トップ > 聴かずに死ねるか! > 第005回:デレク・アンド・ドミノス
 
  デレク・アンド・ドミノス
  /いとしのレイラ
  • アイ・ルックト・アウェイ/I Looked Away
  • ベルボトム・ブルース/Bell Bottom Blues
  • キープ・オン・グローイング/Keep On Growing
  • だれも知らない/Nobody Knows You (When You're Down And Out)
  • アイ・アム・ユアーズ/I Am Yours
  • エニイデイ/Anyday
  • ハイウェイへの関門/Key To The Highway
  • テル・ザ・トゥルース/Tell The Truth
  • 恋は悲しきもの/Why Does Love Got To Be So Sad?
  • 愛の経験/Have You Ever Loved A Woman?
  • リトル・ウィング/Little Wing
  • イッツ・トゥー・レイト/It's Too Late
  • いとしのレイラ/Layla
  • 庭の木/Thorn Tree In The Garden
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ロック史上で名曲と呼ばれるものは数多くあるが、中でも誰もが認めこれからも名曲であり続けるであろう曲というのはさほど多くはないと思う。そんな名曲のうちのひとつといって間違いのない「いとしのレイラ」をアルバム名に持つデレク・アンド・ドミノスの「いとしのレイラ」を取り上げたいと思う。

デレク・アンド・ドミノスはクリームを解散したエリック・クラプトンが1970年に結成したバンドで唯一この「いとしのレイラ」のみをリリースして1971年に解散してしまった。当時のクラプトンは人間的にもギタリストとしてもターニングポイントにあり、ドラッグにはまっていくなど決して安定した状況ではなかった。そんな中でエネルギッシュでありエキサイティングなこのアルバムは生み出された。

全編を通してブルージィな流れを作りつつもハードでありメロディアスな曲は当時のクラプトンが持つリスナーのイメージとは違ったものになっていたようだ。リリース直後のチャートもさほど高位には上らず、当時は名曲と呼べるほどの評価は得ていなかったようだ。

では、当時LP二枚組みでリリースされた本アルバムの曲を追っていってみたい。まずクラプトンが求めたといわれる南部指向を感じさせる曲調の「1」、アルバムの導入曲としては耳障りもよくほどよいテンポで雰囲気作りに一役買っている。続いて少々スローテンポの「2」へと流れる。いわゆる「泣き」系のギターも聴くことができるブルースの佳曲である。一転してポップ調の「3」、そしてまたバリバリのブルースといった感の「4」、パーカッションのリズムが楽しい「5」、歪みギターを駆使したハード調の「6」、LP時にはB面最後の曲であり、これぞブルースといった印象を受ける10分の大曲「7」へと続いていく。

そしてちょっとコミカルな印象を受けつつも正統派ブルースのテイストを持つ「8」、スピード感溢れる「9」はクリーム時代のクラプトンを彷彿とさせる作品である。そしてコンサートでのハイライトとして使われていたブルースナンバーの「10」では思わず身体が横揺れしてしまう。「11」はあのジミ・ヘンドリックスの作品である。一聴してそれとわかるギターのフレーズは彼もまた伝説のギタリストということの証であろう。

どことなく懐かしい感じ、60年台ロックンロールのような印象も受ける「12」を経て、いよいよタイトルナンバーである「13」である。全体的にブルージィにまとまっている本アルバムの中にあって、異質であるようにも感じられるこの曲であるが、ロックというものに多少なりとも触れてきた者ならばよほど特異な嗜好でない限りどこかの時点でこの曲に出会っているはずだ。一度聴けば忘れることのできないギターのフレーズとスリリングな曲の運びと情熱的なヴォーカルとどれをとってもまさに名曲と言える一曲である。

そして2部構成の後半とも言えるピアノ主体の官能的なメロディとそれにからむギターの絶妙な味わい…この曲で聴くことのできる職人技とも言うべきスライドギターはクラプトンの友人でもあったオールマン・ブラザーズ・バンドのギタリスト「デュアン・オールマン」である。彼はこの曲以外にも本アルバムの中でクラプトンとのギターバトルを惜しむことなくさらけ出し、永遠の名作と呼ばれるのに多大なる貢献をしていると言えよう。

また、この曲はやはりクラプトンの大の友人であったビートルズのジョージ・ハリスンの妻であるパティ・ボンドへの許されぬ恋を綴ったものであるというのも驚かされるエピソードである。

最後は前曲「レイラ」を引き継ぐかのような美しい「14」が締めくくる。この美しくも物悲しいような曲を最後に配することで本アルバムの余韻を最大限に表現しているような感すらある。

本アルバムは全体を通してみれば決してコマーシャルな方向性ではなく、どちらかというと万人受けはしないような作りではないかとさえ感じる。しかし「いとしのレイラ」という強烈なインパクトを持ち、なおかつ誰もがわかりやすい曲を持ったことで永遠の名盤と呼ばれるにふさわしい歴史を作ってきたのだと思う。これからもこのアルバムを愛する人は増え続けるのであろう…

これを聴かずに死ねるか!
 
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